東京近郊の中央線界隈の「トトロの住みそうな家」を宮崎
駿が 訪問したレポートである。
古本屋で見つけた。
言葉や写真とともにつけられた、宮崎のイラストが嬉しい。
いわゆる里山というほど田舎ではなく、
かつての郊外生活の感覚を 残している旧家を探し出しては、家に上がりこんでの取材である。
外から見ていて、この家はどんな家だろう。
どんな庭だろう。 どんな人が暮らしているのだろう。
そんな気持ちにさせる家を 本当に訪問してみたわけである。
それなりの家には、やはりそれなりの歴史があるのだろう。
家の主（多くは老婦人だ）から語られる家の歴史は風格があるし、
たいてい、かつて主だった者のこだわりが、家のあちこちに息づいている。
生き残ったこだわりが、トトロが潜んでいるかのような不思議な空間を生む。
ところで、この本は1991年刊、もう15年ほど前の本なのだ。
当時でも「よく今の時代に生き残った」といわれていたような家だ。
この本で紹介された家々は、はたして今もあるのだろうか。
ふと、この本を手に紹介された家を尋ねてみたくなった。