ひさびさに楽しんだ坂田靖子流の不思議なイギリス・・・坂田靖子「サタニックブランチ」を読む(2013.5.15)
底知れぬ変人探偵の適応力と判断力といいかげんさ・・・坂田靖子「ランプシェード」を読む
(2019.2.17）
ひさびさに楽しんだ坂田靖子流の不思議なイギリス
―――坂田靖子「サタニックブランチ」を読む(2013.5.15)
もし、ここ数十年の間に、イギリス好きの日本人が増えたとすれば、
いくぶんかは坂田靖子の功績であると言ってよいだろう。
サタニックブランチは、そんな坂田靖子ひさびさのイギリスものだ。
主人公のルディはイギリスの片田舎で小さな古家具屋を営んでいる。
愛するミッシィと幸せな新婚生活を送ろうとしているのだが、 ルディの周辺にはいつも奇妙な事件が起きる。
うっかり悪魔を召喚するなどという不思議な事件について相談できるのは、
学校時代から学年トップだがド変人で知られた元同級生エムが主宰する
「万能相談所」くらいしか思いつかない。
そして、「どんな困り事も解決します」のコピーどおり、
「変人探偵エム」はどんな事件であっても見事に解決してしまう。
この本は、善人のルディと変人のエムの7つの不思議な事件が載せられている。
もともと深刻な物語ではない。理にかなった物語でもない。
むしろ、作品が醸し出す坂田流のイギリスの空気が懐かしくもあり、心地よくもあった。
ああ、久しぶりに坂田靖子のイギリスを楽しんだなあ、と。
双
葉社サイト内「サタニックブランチ」紹介ページ
底知れぬ変人探偵の適応力と判断力といいかげんさ
―――坂田靖子「ランプシェード」を読む (2019.2.17）
独自のゆるい幻想的コメディを描いてきた坂田靖子が、
このところ発表している「変人探偵エム」のシリーズである。
単行本は３冊目だが、２冊目は買いそびれたようだ。
もう、古家具屋のルディは、不思議で面倒な相談事に巻き込まれるのは日常のようだ。
しかも、やむなく友人のエムに相談をするのだが、
当然のように、エムは話をややこしくするだけで解決してくれない。
かと思えば、とことん不可思議でどうにもならない事態に陥った時には、
なぜかエムは驚くべき適応力と判断力で、突飛な方法で解決してしまうこともある。
さすが、万能相談所を開くだけのことはある。
読まないと人生の損失なんてことはけっしてないが、 読んだことで少し得した気分にはなる。
なにより、今でも坂田靖子が新作を発表し続けてくれることが嬉しかったりするのだ。